モデル規範・SMオブザーバベース・追従SM制御…Homework
[1] 次の状態方程式で表される制御対象を考えます。
この状態が理想的なモデル
の状態を追従するように、すなわち
となるように制御則を決定したいとします。
以下では、(2)は適当な安定化状態フィードバックと入力変換を行って
のように得られていると仮定します。
●モデル間の誤差は、(1)と(2)を辺々引き算して
に従います。これは(4)を用いて次式となります。
●出力方程式は次式で与えられるとします。
状態フィードバックは使えないので、次のSMオブザーバを考えます。
ここで、はが安定行列となるように選ばれているとします。
SMオブザーバの誤差方程式は、(1)と(7)を辺々引き算して
すなわち
となります。いま
を満足すると、あるに対して
が満足されているものとします。このとき、は次式で与えます。
ただし
[2] SMオブザーバ(8)の状態((1)の状態の推定値)をモデル(2)の状態を追従させることを考えます。そのために次の制御則を考えます。
このとき、この場合のモデル間の誤差は、(8)と(2)を辺々引き算して
すなわち
に従います。これに対して、スライディングモード制御
を適用することを考えます。スイッチング関数は
とします。これはスイッチング関数(1)またはスイッチング関数(2)の方法で選定します。
●線形制御部を、次式のように決めます。
また、スイッチング部を、次式のように決めます。
ここで、は適当な安定行列を与えて
の解として求め、また、次の関係を満たすものとします。
●(15),(18)を(14′)に代入して、モデル間の誤差は
すなわち
に従います。
[3] 以下では、状態方程式は次のSM標準形をとるように座標変換されているとします。
これに応じて、スイッチング関数(16)を
と分割します。
(21)は、とに注意して
となります。これに対して座標変換
を行うと、まず(25)を(24)に代入して
左からをかけて
ただし
を得ます。ここで、が安定行列となるように行列が選ばれているとします。
これを誤差方程式(9′)と合わせて、閉ループ系は次式で表されます。
●以上に基づく設計手順を、数値例で示します。
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図1 モデル規範・SMオブザーバベース・追従SM制御系のシミュレーション例
Note C93 閉ループ系の安定性
●閉ループ系のダイナミックスは次式で表されます。
ただし
これに対して次のリャプノフ関数を考えます。
ここで、正定行列、は、それぞれ安定行列、のリャプノフ行列とし、次のリャプノフ方程式の解とします。
●は、リャプノフ方程式
を満足するブロック対角行列とします。ここで、正定行列、は、それぞれ安定行列、に対する次のリャプノフ不等式の解です。
このとき、とは、次のリャプノフ不等式の解を構成するとします。
これは次式と等価です。
ここで、新しいパラメータを導入し、次の公式を用いています。
いま適当なとを与えて、
を解いて、とを定めるものとします。このとき(7)は
となります。したがって、この制約を(8)の、(9)のに付けておきます。
●以上の準備の下で次式が示され、閉ループ系のリャプノフ安定性が成り立ちます。
ここで、次の平方完成を行っています。
また、次が成り立つことを用いています。
まず、(14.1)は
を仮定すると、これを変形して得られる
を用いて
次に、(14.2)は