LQ制御…Homework
[1] 可制御な制御対象
を安定化する状態フィードバック
の決定法を考えます。一つの方法は,閉ループ系
の時間応答に関する評価規範として,2次形式評価関数
を設定し,これを最小化する問題を解くことです。ただし、は可観測対とします。これによる状態フィードバックのゲイン行列は,リッカチ方程式
の解を用いて,次式で与えられます。
この証明はNoteに示しています。
Note A52-1 行列による微分
いま、任意の行列の要素をで表すとき、スカラ関数を行列変数の各要素で微分して得られる行列をで定義します。このとき、行列のトレースについて、次が成り立ちます。
実際、
Note A52-2 LQ制御問題の解法
可制御かつ可観測な次系
に対する状態フィードバック
による閉ループ系
に対して、評価関数
を最小化するようにを決める問題を考えます。
閉ループ系における状態の振る舞いは次式で与えられます。
ここで、1次系の場合は初期状態はであればよかったのですが、一般の場合はインパルス応答となるようにの列ベクトルを考えます。各インパルス応答
に対する評価関数の総和は
と書けます。いまをラグランジュの未定定数として
を最小化する問題を考えます。ここで、制約条件は、リャプノフ方程式と呼ばれる
ですが、はが安定行列を意味することに注意します。
そこで、必要条件として次を得ます。
ここで、第2式から得られるを第3式に代入して
すなわち、リッカチ方程式と呼ばれるの行列方程式
を得ます。これからを求めて、は
のように得られます。このような制御方式をLQ制御と呼びます。
一方、十分性の議論は次のように行われます。まず、被積分項は次のように表すことができます。
実際、右辺にを代入し、リッカチ方程式を用いると
したがって、上記の両辺を積分して
を得ます。ここで、を前提とするので
を得ます。これからが評価関数を最小化することが分かります。