上図のようなドローンについて、次の文献をフォローしていきます。
Randal Beard: Quadrotor Dynamics and Control, Rev0.1, Brigham Young University, 2008
以下では、、をそれぞれ、と略記します。
準備
●上図のように、ベクトルを、ベクトルのまわりにだけ回転して得られるベクトルの表現式を求めます。
ただし
から、次式を得ます。
ここで
とおくと
●の場合(left-handed rotation about z-axis)
●の場合(left-handed rotation about y-axis)
●の場合(left-handed rotation about x-axis)
以上のようなベクトルの回転は、相対的に座標軸を回転させても、把握できます。
●right-handed rotation about z-axis
●right-handed rotation about y-axis
●right-handed rotation about x-axis
座標系
●ドローンの運動の記述にあたっては、次のような地上座標系と機体固定座標系を用います。
における機体の位置は次の変数で表します。
: the inertial (north) position of the aircraft along in
: the inertial (east) position of the aircraft along in
: the altitude of the aircraft measured along in
また、は、から、次のオイラー角
: the roll angle defined with respect to
: the pitch angle defined with respect to
: the yaw angle defined with respect to
を用いて、次のように逐次回転して得られます。
ここで、は原点を機体重心にもつ回転前の座標系(に平行)を表しています。
●における任意ベクトル(後出の位置ベクトル、速度ベクトルなど)は、から、次のような変換を行って得られます。
●
●
●
●における任意ベクトル(後出の位置ベクトル、速度ベクトルなど)の時間変化がどのように表されるかを調べます。
これは、次式で表されます。
実際
運動方程式
における運動は次の変数を用いて表されます。
: the body frame velocity measured along in
: the body frame velocity measured along in
: the body frame velocity measured along in
: the roll rate measured along in
: the pitch rate measured along in
: the yaw rate measured along in
これらがからどう表されるか、すなわち次の変数の微分とどう関係するか(キネマティックス)を調べます。
: the inertial (north) position of the quadrotor along in
: the inertial (east) position of the quadrotor along in
: the altitude of the aircraft measured along in
: the roll angle defined with respect to
: the pitch angle defined with respect to
: the yaw angle defined with respect to
●とにおける速度ベクトルについては
の関係が成り立ちます。したがって、
●とにおける角速度ベクトルについては
の関係が成り立ちます。したがって、
すなわち、次の関係式を得ます。
●次に並進運動(ダイナミックス)は次式で表されます。
●また回転運動(ダイナミックス)は次式で表されます。
外力
4つのモータへの回転指令をとします。このとき、各モータによる推力とトルクは次式で表されます。
また、4つのモータの合推力と各軸回りのトルクは次式で表されます。
すなわち
また、並進運動方程式の外力項は次式となります。
このときドローンの運動方程式に基づく状態方程式は次式となります。
これを見ると、行列に状態変数が絡んでおり、複雑なダイナミクスをもっていることが分かります。
運動方程式の簡単化
次の仮定のもとで、運動方程式の簡単化を行ないます。
仮定1: 、、は小さく無視できる
仮定2: 、は小さく無視できる
まず、仮定1のもとで、次の近似が可能です。
このとき、仮定2をおけば次の近似が可能です。
これは、機体の傾きを独立して制御できることを示しています。
さらに次のような近似が可能です。
結局、ドローンの運動方程式は、次式のように簡単化されます。
いま,重力補償のためにから決まるを各操作入力に前もって加えておくことにすると、次式が成り立ちます。
このときドローンの線形状態方程式は次式となります。