SMオブザーバベース・追従SMI制御…Homework
[0] まず準備の復習から始めます。
制御対象の状態空間表現として次式を考えます。
これに対して、積分動作
とSM状態オブザーバ
を考えます。
●以下では、の代わりにを用いた制御則をで表します。
ここでスイッチング関数は、をと分割して、次式で表されるとしています。
[1] (3.1)から(1.1)を辺々引き算して、誤差方程式
を得ます。を用いて、(2.1)は
となります。また(3.1)は、の代わりにを用いることにすれば
と表せます。
●(7)と(8)をまとめて
ここで座標変換
を行うと
したがって
すなわち、第1ブロック行は
第2ブロック行は(5)を用いて、とおいて
(13)と(14)の結果は、次のようにまとめられます。
ここで
を定義すると
すなわち
を得ます。これを誤差方程式(6)すなわち
と合わせて、閉ループ系は次式で表されます。
ここまでの手順を、関数ob_smiとしてプログラムすることにします。
●以上に基づく設計手順を、数値例で示します。
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図1 SMオブザーバベースSMI追従制御系のシミュレーション例
Note C92 閉ループ系の安定性
●閉ループ系は(19)と(3.2)を合わせて
で表されます。これに対して次のリャプノフ関数を考えます。
ここで、正定行列、、は、それぞれ安定行列、、のリャプノフ行列とし、次のリャプノフ方程式の解とします。
●は、リャプノフ方程式
を満足するブロック対角行列とします。ここで、正定行列、は、それぞれ安定行列、に対する次のリャプノフ不等式の解です。
このとき、とは、次のリャプノフ不等式の解を構成するとします。
これは次式と等価です。
ここで、新しいパラメータを導入し、次の公式を用いています。
いま適当なとを与えて、
を解いて、とを定めるものとします。このとき(7)は
となります。したがって、この制約を(8)の、(9)のに付けておきます。
●以上の準備の下で次式が示され、閉ループ系のリャプノフ安定性が成り立ちます。
ここで、次の平方完成を行っています。
また、次が成り立つことを用いています。
まず、(14.1)は
を変形して得られる
を用いて
次に、(14.2)は
Note C92-2 スライディングモードの検討
このSM制御系では、超平面
においてスライディングモードが生じることを示します。そのために
に対して次のリャプノフ関数を考えます。
この時間微分は次のように計算できます。
(4)の第1項は、より
また、(14.1)はを適用して
したがって
(4)の第2項は、
したがって
においては
が成り立ち、これより有限時間でとなり、超平面に突入することが分かります(の表現式はEdwards and Spurgeonによるものです)。