[1] 制御対象の状態空間表現として次式を考えます。
ただし、はモデル誤差、非線形要素、外乱などの影響を表し、次のマッチング条件を満たすとします。
●適当な座標変換によって次式が得られていると仮定します。
ただし、は安定行列であることを仮定します。
●このとき次のSMオブザーバを考えます。
ここで、は安定行列として選ばれているとします。また、
を満足するを用いて、は
ただし
のように与えます。
以下では、モデル誤差、非線形要素、外乱などの影響があるにも拘わらず、状態オブザーバを構成できるを検討します。
[2] (4)から(3.1)を辺々引き算して、次の誤差方程式を得ます。
すなわち
●この誤差システムの2次安定性を示します。(5)の解を用いて
を定義し、
の解を用いて、リャプノフ関数
を考えます。このとき
および
に注意して
●一方、誤差の振舞いはある有限時間で次の超平面上でのスライディングモードとなることがわかります。
実際、(10)の第2項
に対して、(12)に注意して
ただし
●SMオブザーバ(4)と(6.1)を再掲すると
これは、よりとしてよいので、次のように表すことができます。
[2] 以上の議論は(3.1)と(3.2)の形式を得るための座標変換行列の存在が前提になります。これについて調べるために、出力FB型SM制御(p>m)で得られていた次の結果に注目します。
ここで、は可観測対、の固有値はの不変零点でした。この不変零点は安定であること、が仮定されていました。
●これはの場合ですが、の場合も、として同様にして次式を得ます。
ここで、は可観測対、の固有値はの不変零点です。同様に、この不変零点は安定で、を仮定します。
●を安定行列とするを用いて、追加の座標変換行列を
とすると
すなわち
を得ます。したがって、は
と選べばよいことが分かります。
ここまでの手順を、関数ca_form2としてプログラムすることにします。
さらに、関数smobs1としてプログラムすることにします。