積分動作導入による追従SM制御…Homework
[1] 制御対象
の出力を、コマンド(次式の解)
に追従させることを考えます(は安定行列)。そのために、積分動作
を導入し、次の拡大系を構成します。ここで、(1)はすでに標準形であるとしています。
これを、次のように分割し直しても標準形であることには変わりありません。
ただし
●この積分器による拡大系を安定化できれば、積分器の値は定値となり、被積分項の値は零となり、はへ漸近します。そこで、SM制御によって拡大系を安定化し、追従制御系を構成することを考えます。この制御系は特別なの場合を含みますので、まずスイッチング関数として、次式を考えます。
(5)に対して、座標変換
を行って、次式を得ます。
ただし
ここで、が安定行列となるように行列が選ばれているとします。
●特別なの場合のスライディングモードはで表されますが、一般のの場合のスライディングモードは
で表されるとします。ここで、は適当に選択された行列です。
●以上の準備の下で、SM制御則
を、2次安定性
すなわち
が成り立つように決定します(, , )。
[2] 可到達性の検討
ここでは、スライディングモード制御則(10)の具体的な表現を求めます。
●等価制御は、(8)においての場合
のように得られます。(10)の第1項は、この等価制御をベースして、(9)を考慮して
すなわち
のように構成します(は安定行列)。このとき閉ループ系は次式で与えられます。
これを変形して
すなわち、次式が成り立ちます。
(15.2)に基づいてスライディングモードを達成するを明らかにします。
は安定行列なので
を満たすを選ぶことができます。これを用いて
すなわち
と選びます()。このとき次式が成り立ち、(11)が示されます。
これより(15.2)における2次安定性が成り立つことが分かります。2次安定であればは0に漸近します。
[3] スライディングモードの検討
次にのもとで、(15.1)からの振舞いについて調べます。
は安定行列なので
を満たすを選ぶことができます。そこで、(15.1)に対するリャプノフ関数の微分について調べます。
したがって、次式が成り立ち、リャプノフ安定性が示されます。
これから、ロバスト性での議論と同様に、が発散することはないことが分かります。
演習C61…Flipped Classroom
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