問題設定…Homework
[1] 制御対象の状態方程式として次式を考えます。
ここで、はモデル誤差、非線形要素、外乱などの影響を表し、有界かつ未知とします。これに対し、次のスイッチング関数を定義します。
以下では、(1)の解が、ある時刻に対して
を満足するような状況、すなわちスライディングモードを考えます。
以上の準備の下で、スライディングモード制御問題は次のように記述されます。
問題1: 動的システムの振舞いを閉じ込める超平面 を定義するスイッチング関数を決定せよ。 問題2: 有限時刻 において状態を超平面内に拘束し、引き続き留まらせる()ことのできるスライディングモード制御則(SMC則)を設計せよ。 |
この問題の解、SMC則は、次のように表されます。
ここで、は正則行列であることを仮定しています。また設計パラメータは、安定行列、スカラーです。は次式から定まる正定行列です。
以下ではこの解の妥当性を2次安定化の観点から検討します。
[2] いま(1)において、すなわち
とし、の正則性を仮定します。において、スライディングモード時の制御則は等価制御と呼ばれ、次式のように求められます。
これによる閉ループ系は次式となります。
ちなみに、(4)の第1項は、この等価制御をベースして
のように構成されています。このの役割についてはあとで述べます。
[3] いま(1)においての場合、適合サイズをもつ行列を用いて
のように表されると仮定します。このとき、等価制御は
となります。これによる閉ループ系は次式となります。
すなわちマッチング条件とよばれる(12)が成り立つとき、スライディングモード時はの影響を受けないことが分かります。
演習…Flipped Classroom
次の剛体振子の状態方程式
に対して、スイッチング関数を
と選ぶとき、SMC則の線形制御の部分は次式となることを示せ。
※を改めてとおけば、可到達条件のところで述べた次式(14)となります。
上の剛体振子の状態方程式についてマッチング条件(12)を調べよ。
Note C211入力系の場合
●ここでは次の1入力系を考えます。
また次のスイッチング関数を考えます。
このとき、SMC則
を可到達条件を満たすように構成することを考えます。
●線形制御は、
において、とおいて
のように定めます。
●の候補として次の2つを考えます。
以下では、これらが適当な条件の下で可到達条件を満足しSMC則になることを示します。
(9)の場合:
を満足するを選ぶと
(10)の場合:
のようにを選ぶと