出力数>入力数の場合…Homework
[0] 制御対象の状態空間表現として次式を考えます。
ただし、はモデル誤差、非線形要素、外乱などの影響を表し、次のマッチング条件を満たすとします。
これに対し、次のスイッチング関数を定義します。
[1] 行列をの形にするために、座標変換
を行うと(はを正則とする適当な行列)、次式を得ます。
●を
のように変換する直交行列を用いて(は正則行列)、座標変換
を行うと、次式を得ます。
ここで、等価制御が存在する条件は
となります。以下ではを仮定します。このときの正則性から、正方行列も正則となります。
[2] (7)では、をとに分割していますが、(8.1)と(8.3)に対するSM標準形を得るために、をとに分割し直して、座標変換
を行うと、次式を得ます。
ただし
ここで、を安定行列とすることができるかが問題となります。は
と書けるので、仮想システム
を出力フィードバック
によって安定化する問題となります。そのためには(13)が可制御かつ可観測で、Kimura-Davisonの条件が成り立つことが必要です。
●(13)の可制御性については
より、(1.1)が可制御であれば(13)も可制御となります。
●(13)の可観測性については、次式に基づいて検討します。
ここで、は、可観測標準形への変換行列です。このとき適当なに対して最終式の第2項が成り立ちます。したがって、一般には(13)の可観測性は成り立つとは言えないのですが、要はを安定行列とできればよいので、この観点から調べていきます。
[3] 上のを用いて、(8.1)に対して、座標変換
を行うと、次式を得ます。
また、(12)より
を得るので、の固有値は、の固有値と
の固有値の和となります。ここで、を仮定しています。したがって、まず、の固有値は左半平面にあることが前提となります。
●そこで、を安定行列とすることができるかを考えます。これは、(低次の)仮想システム
を出力フィードバック
によって安定化するブレイクダウンした問題となります。そのためにはKimura-Davisonの条件
が成り立ち、(20)が可制御かつ可観測であることが必要です。後者については、補遺に示すように成り立ちます。ただし、これらは求解条件であって、具体的にを求めるアルゴリズムについては、状態フィードバックのように確立されたものがあるわけではありません。
ここまでの手順を、関数ca_form1としてプログラムすることにします。
[4] 以上の準備の下で、の場合のSM制御則をどう決めるかを考えます。(8.3)で定義した、
から次式を得ます。
ここで、は(12)のが安定行列となるように決めますが、上で調べたように、の固有値は、の固有値との固有値の和です。そこで、は安定行列であることが前提となります。一方はが安定行列となるように決め、
のように構成します。ここで、は任意でよく、または(19)で定めた行列です。ちなみにの場合は、は存在せずとなり、の固有値はの固有値だけとなります。
●以上では(8.1)に対して、座標変換(10)によって、(11)を得ていました。ここでは、(25)のを用いた次の座標変換を行います(、と置き換え、記法がに置き換わっています)。
を行うために、まず(26)を(8.1)に代入して
左からをかけて
すなわち、次式を得ます。
●ここからは出力FB型SM制御(p=m)の議論と同様にして、SM制御則として次式を考えます。
ただし、
●以上に基づく設計手順を、数値例で示します。
MATLAB |
|
図1 出力FB型SM制御のシミュレーション例